SNUG Journal

「SNUG Journal」は毎週金曜日に発行! 対話のプログラム設計や教育、ファシリテーションを行う 「対話の場づくり屋 SNUG」の活動レポートや代表の考えなどを発信します。

「SNUG Journal」は毎週金曜日に発行!
 対話のプログラム設計や教育、ファシリテーションを行う 「話し合いの場づくり屋 SNUG」の活動レポートや代表の考えなどを発信します。

【第3号】「子どもの参加する権利」を体現する「札幌市子ども議会」とそのサポートとは?

「SNUG Journal」 へようこそ!

 話し合いの場づくり屋 SNUGにまつわる情報や活動内容、対話に関するトピックを毎週金曜日にお届けします。

 札幌はめっきり冷え込む日が増えました。雪が降るとかなんとか…そんな情報も聞こえてきます。

 さて、今回は第3号。昨年度に引き続きSNUGがファシリテーションを務めている「札幌市子ども議会」と、SNUGが子どもやユース世代に対して大切にしていることついてご紹介します。(今回は写真がありません!泣)

 心を込めて書いているので、ぜひ最後までお読みください。

 

札幌市子ども議会って?

 札幌市の子ども議会は、札幌市内の小中学生の子どもたちが、「子ども議員」として、札幌のまちづくりについて学び、考え、話し合った内容を発表する取組です。

 札幌市は「札幌市子どもの最善の利益を実現するための権利条例」(子どもの権利条例)を施行しており、子ども議会は「参加する権利」の体現の場で、札幌市子ども未来局が主催しています。

 今年度も現在子ども議会が進行中。テーマは「共生社会」。今年度もどんな子ども議会になるか、とても楽しみです。

 

子ども議員でSNUGはどんなサポートをするの?

 SNUGは昨年度、今年度と札幌市子ども議会のファシリテーターをしています。

 子ども議会では、子ども議員が自らの好奇心を大切にしながら、ほかの子ども議員たちとともに学び、考え、提案をつくること目指しながらそのプロセスを雰囲気や環境づくりによって支えます。

 

 具体的には、「話し合いのルールづくりの提案」、提案をつくる上での「目指す方向性の提示」、困りごとに寄り添いながら解決策を見つけるための「問いかけ」や「フィードバック」などを行うことで、子ども議員全員が学び深く納得できる提案づくりとその過程をデザインしているのです。

 

子ども議員を支える「ユースファシリテーター」の存在とは?

 子ども議会にいるのは子ども議員だけではありません。公募で選ばれたユース世代が10名程度、子ども議会を支えます。

 SNUGは子ども議員に寄り添うユース世代「ユースファシリテーター」のトレーニングやふりかえりの場を担うことで、ユース世代がのリーダーシップを育むサポートを行います。

 令和4年度までは「サポーター」と呼ばれていましたが、今年度令和5年度からは名称が「ユースファシリテーター」へ進化し、本格的に対話のサポートを担う役割となりました。

 ユースファシリテーターたちは、子ども議会の中でグループに入り子ども議員の声に耳を傾け、問いかけ、サポートしています。

 

  子ども議員は子ども議会でどんなことするの?

 令和4年度は、公募で選ばれた学校も学年も違う23名の子ども議員が参加。

 4回にわたる「委員会活動」の中では、以下の活動を行いました(盛りだくさん!!)。

  • 子ども議員が自らの興味・関心をもとにグループをつくる
  • グループでテーマを決める
  • 市役所の大人との勉強会
  • 学んだことを元に提案案作成
  • 提案の発表づくり(台本づくり、プレゼンテーション作成など)
  • リハーサルと子ども議員同士のフィードバック
  • 提案時の想定質問を考え、その答えを作成
  • 提案完成

 子ども議員同士が「話し合い」を通して以上の委員会活動を行なったのち、秋元克広札幌市長に直接提案する「市長報告会」に臨みました。

(令和4年度札幌市子ども議会の様子はこちらから!)

 

では令和4年度子ども議会ではどんな提言が行われたのでしょうか?

 令和4年度、札幌市は「第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン」を作成中だったことから、子ども議会でもこのビジョンの内容に沿った提言内容をご紹介。

 きっと提案の精度にびっくりされるのではないでしょうか?

 

①救急医療グループ

「救急車を利用する際の受け入れ先の病院が見つかるまでの時間ロスを減らすためのアプリ案」

 「救急車を呼んでも受け入れ先が見つかるまでの時間ロスがある現状」を解決するため、実際に実験運用されている救急隊アプリシステムの問題点を挙げ、アプリの改善案を提案しました。

 アプリシステムの画面案も子ども議員が作成しました。

 

②観光都市札幌グループ

「観光についてのWebサイトと安心安全な観光についての提案」

 現状の札幌市の観光サイトでは「子どもが楽しめない」という課題点を挙げ、Webサイトでは子どもが読むことができるよう漢字だけでなくひらがなを使ってほしいということ、子どもがわくわくするような画像やイラスト、キャラクターを使ってほしいという提案をしました。

 また、安心安全な観光のために札幌の天候を表すライブカメラの導入も提案しました。

 

③SOS!子どもの意見を大切にグループ

「いじめアンケートの改善とスクールカウンセラーに相談しやすくする環境づくりについての提案」

 子どもがいじめアンケートに答えにくい、書きにくいという現状を変化させるため、アンケートの代替案の提案を行いました。

 また、子どもたちがスクールカウンセラーに相談しづらい現状を課題として挙げ、事例をもとにスクールカウンセラーに相談しやすくなるような仕組みづくりの提案を行いました。

 

④環境ヒグマグループ

「ヒグマと札幌市民が共存していくための取り組み提案」

 市街地にヒグマが降りてくる現状を取り上げました。「森林ゾーン」「市街地周辺ゾーン」「市街地ゾーン」ごとのヒグマの現状の説明とともに、学校でのヒグマに出会った際の避難訓練などの学校活動や、情報の普及啓発、草刈りなどのボランティア活動などを提案しました。

 ヒグマを殺すことが目的ではなく、共存することを目指している点を強調していました。

 

⑤環境森林グループ

「札幌市民が森林についての認識を深め、緑を守るための提案」

 札幌市の森林の割合が約6割である現状を踏まえた上で、もっと森林に触れる機会を増したり森林を活用するための提案を行いました。

 森林についての正しい認識が子どもに知られていない現状を指摘し、森林に興味を持ってもらうためのイベントや緑を守るための施策を提案しました。

 

 

SNUGの子どもの主体性を育むSNUGの取り組み

 SNUGは将来世代である「子ども世代」に対する取り組みを大事にしています。

 対話の場づくりで得た知見を生かし、子どもたち自ら「こうしたい!」「やってみよう」「どうしてだろう?」と思うことができ主体性を発揮するための対話の環境をつくります。

 さらに、私たちは子ども、ユース世代の「非認知能力」向上に貢献したいと考えています。

 

 「非認知能力」という言葉をご存じでしょうか。

 ベネッセのサイトを見てみましょう。

(略)「非認知能力」とは、数値では表せないけれども、これからの時代を生きるために、また、幸せな人生を切りひらくために必要な能力のことです。例えば、「目標を決めて取り組む」「意欲や興味を持つ」「新しい発想をする」「周りの人と円滑なコミュニケーションをとる」といった力のことで、子どもが人生を豊かにする上でとても大切な能力です。

ベネッセ(取材・執筆:神田有希子)."教育用語解説『非認知能力』"ベネッセ教育情報.2023.2.1. https://benesse.jp/educational_terms/11.html (参照 2021-11-10).

 

 SNUGは、子ども、若者などの将来世代が不確実で変化が激しい時代を豊かに生きていくことができるよう、社会の課題を認識し、自らありたい姿を描くことができるような力を育むことができる学びの機会をつくりたいと考えています。

 学びをサポートするリーダーシップ育成も非常に重要です。

 話し合いの場づくりのみならず、対話を支えるリーダーシップ育成のトレーニングは引き続きSNUGの活動の柱になればと考えています。

 

今年度も子ども議会がスタートしています!

 先日令和5年度の子ども議会がスタートしました。

 テーマは「共生社会」。先日第1回委員会を終えました。

 初めましての子ども議員たちは、グループを決めるための「グループ決めの方法」から自分たちで話し合い、全員が納得できるグループ決めをすることができました。

 さて、これからは今年の市長報告会に向けて勉強会、提案づくりがスタートします。

 子ども議員たちは「共生社会」をどのように捉え、どのような課題をどう提案に落とし込むのでしょうか。

 そしてユースファシリテーターたちは、どのようなリーダーシップを発揮するのでしょうか。

  

結び

 日々変化する世界情勢、舞い込んでくる衝撃的なニュース…みなさんはいかがお過ごしでしょうか。物価も高いし…私は日々のお買い物にも頭を悩ませています。

 矛盾だらけで煩雑な現代、忙しい毎日。

 それでも、それぞれの持ち場でできること、必要なことをしながらともに生きましょう。

 また来週このblogで、日々の現場でお会いしましょう!

 

スターバックス某店舗にて

SNUG 代表

長谷川友子