SNUG Journal

「SNUG Journal」は毎週金曜日に発行! 対話のプログラム設計や教育、ファシリテーションを行う 「対話の場づくり屋 SNUG」の活動レポートや代表の考えなどを発信します。

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 対話のプログラム設計や教育、ファシリテーションを行う 「話し合いの場づくり屋 SNUG」の活動レポートや代表の考えなどを発信します。

【第7号】SNUGが考える「対話」と「リーダーシップ」の関係性とは?

「SNUG Journal」 へようこそ!

 話し合いの場づくり屋 SNUGにまつわる情報や活動内容、対話に関するトピックを毎週金曜日にお届けします。

 1週間が経つのは早いですね。実はこのブログをたのしみに待っていてくださる方がいらっしゃるのだとか!とても嬉しいことです。

 さて、今回は第7号。前回はユース世代に対するエンパワーメントに関してお伝えしました。今回はその先にあるSNUGが考える「対話」と「リーダーシップ」の関係性をお伝えします。ぜひ最後までお読みください!

 

SNUGが考える「リーダーシップ」とは?

 「リーダーシップ」という言葉を聞いて、あなたはどのようなイメージを思い浮かべますか。

 SNUGはリーダーシップを、従来のような「年長者で」「男性で」「一人のカリスマ的な」ものではなく、「自身や周囲に影響を与えたり変化を起こすことができる力やあり方」と捉えています。

 影響や変化のあり方は多様ですから、私たちはリーダーシップとは特定のイメージを持つものではなく多様であると考えます。

 それゆえ、最近のSNUGのリーダーシップ研修では「『あなたなりに』積極的に参加してください」と参加者に伝えています。

 背筋を伸ばして姿勢を正すこと、求められたらたくさん発言すること、はきはきと話すことだけが積極性ではありません。

 人目を憚らずじっくりと考えること、誰かの声をじっと聞くこと、小さな声でつぶやくことも、その人の積極性かもしれない。

 SNUGが講師を務める際は「一人ひとりの積極性を目に見える言動でジャッジしない」と参加者に伝えたいし、そのような講師でありたいと願っています。

 誰もが自分らしくいることができる環境があってはじめてリーダシップを学ぶ土壌ができるのだと考えています。

 

なぜリーダーシップを学ぶ機会が必要なの?

 ではなぜSNUGはリーダーシップを学ぶ場を提供するのでしょうか。二つの、しかし関連した理由をお伝えします。

 

①私たちはフクザツな課題に取り組まなくてはならないから。

 課題といってもいろいろありますが、とりわけ注目しているのは「フクザツな」課題。関係する要因が一つだけでなく一つのジャンルでもない課題は専門家が一人で解くことができるものではありません。

 地球規模の気候変動、格差、戦争などから(これらの課題は、もちろん地域にも影響します)、社会に存在する抑圧、学校祭で何をやるか、家庭での家事の役割分担まで私たちの周りにはたくさんの課題があるので、それらの課題とどのように共存するのかいつも迫られているのです。

 リーダーシップを学ぶと、自分が「変化や影響を生み出すことができる」ということを知ることができます。

 実は私たちが持つ「無力感」も学習して得た感覚だと言われています(※1)。自分の影響力も学ぶ場が必要です。

 

②一人ひとりが自分らしく自分に納得して生きていくことができる「エージェンシー」を育むため。

 「一人ひとりが自分らしく自分に納得して生きていくことができる」という言葉を使いましたが、SNUGがリーダーシップを学ぶ機会をつくることで育みたいのは「エージェンシー(Agency)」という概念かなと考えています。 

 エージェンシーとは、「信念や目的に従って自律的に判断し、自己や社会のために行動を起こす意志を伴った力であり、その行為が導く結果への能動的責任を担う主体の意志」であると言われています(※2)。

 …難しい!?似た言葉として、「主体性」や「自主性」があります。

 しかし、「エージェンシー」にはこれらの言葉では補いきれない意味があります。

 それは、ただ主体的、自主的であればオッケーということではないということ。

 例えば、若者が大人に取り入るために「自主的に」いい子のように振る舞うことも「主体性」と言われてしまうかもしれません(加えて、特に大人の視点ではその判断がつきにくい側面もあります)。

 エージェンシーにおいては、自分の行動や意志決定を「どのような価値基準に基づいて行うか」ということも重要視されます。

 SNUGは、なんのための主体性か、誰のための自主性かということも問い続ける学びの場を提供したいと考えています。

 この辺は私たちも勉強中ですから、日々アップデートしていきたいところです。

 

なぜ対話がリーダーシップと関係あるの?

 SNUGはリーダーシップを「自身や周囲に影響を与えたり変化を起こすことができる力やあり方」と考えているとお伝えしました。

 SNUGは対話を「話す人、聞く人が互いに影響し合いながら何かを生み出そうとすること」だと考えています。

 そして対話は「現状に変化を生み出すもの」とも考えています。それゆえ、私たちは対話こそがともにリーダーシップを育むものだと考えています。

 SNUGは対話や対話のサポートの技法を通したリーダーシップ育成プログラムを提供しています。

 

結び

 今回はちょっと概念的なお話をしてみました。いかがでしたか?

 この「SNUG Journal」では取り組みの事例だけでなくSNUGの考えも発信していこうと思っています。

 ぜひ感想などがありましたら教えてくださると嬉しいです。

 今日もちょっと日づけすぎちゃいました。金曜日の夜ごろアップされるという認識でいてくださると嬉しいです(汗)。でも書いていて学びが多く、楽しいです。

 さて12月も半ばですね。忙しい方ものんびりな方も、ご自身のペースで暮らせますように。ではまた来週!

2023年12月8日深夜 
SNUG代表 長谷川友子
with デカフェコーヒー

 

お知らせ

unitsnug.hatenablog.com

 

参考

(※1)

子ども理解の「そこ大事!」 第3回 | みつむら web magazine | 光村図書出版 

(https://www.mitsumura-tosho.co.jp/webmaga/kotoba-to-manabi/kodomo-rikai/detail03) 最終閲覧 2023.12.8

(※2)

 日本教師教育学会 第10期国際研究交流部 編訳著、百合田 真樹人 編訳著、矢野 博之 編訳著、香川 奈緒美 訳・著、金井 香里 訳・著、森 久佳 訳・著、荒巻 恵子 訳・著、深見 俊崇 訳・著.(2022).『ユネスコ・教育を再考する』学文社  94ページ