SNUG Journal

「SNUG Journal」は毎週金曜日に発行! 対話のプログラム設計や教育、ファシリテーションを行う 「対話の場づくり屋 SNUG」の活動レポートや代表の考えなどを発信します。

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 対話のプログラム設計や教育、ファシリテーションを行う 「話し合いの場づくり屋 SNUG」の活動レポートや代表の考えなどを発信します。

【第15号】SNUGインタビュー企画「う〜さん編」:インターンからみた対話の場づくり屋SNUGとは…?

「SNUG Journal」 へようこそ!

  対話の場づくり屋 SNUGにまつわる情報や活動内容、対話に関するトピックを毎週金曜日にお届けします。ライターはSNUG代表の 長谷川友子です。

 さて、今回は第15号。今回から新企画「ユースへのインタビュー」です。記念すべき第1回目はSNUGで1年半ほどユースインターン生として活動している「う〜さん」にSNUGや対話、ファシリテーションについてじっくりお聞きしました。

 SNUGを間近で見てきたユースインターン生はどんなことを思っているのか、またSNUGが日々どのようなことをしているのか知っていただきたいです。

 今回も、ぜひ最後までお読みください!

 

ではさっそくインタービュー内容へ!

  SNUGのインターンう〜さんがSNUGと出会ったきっかけは2022年度のNPOインターンシップ(主催:札幌市市民活動サポートセンター)

NPOインターンシップ」とは、対象は30歳以下を対象としたNPO団体の一員として一緒に活動することによって、団体の活動や社会課題への向き合い方について学ぶことができるプログラムです。

 参加団体の説明を受けた参加者が、自分が一緒に活動してみたい団体を希望しマッチングが行われました。う〜さんはSNUGを第一希望としてくれインターン生となり活動をしてきました。

 そしてNPOインターンシップの期間が終わっても、継続してSNUGのインターン活動をしています。そんなう〜さんと、SNUGで活動してきた今までについて振り返ります。

インタビュー日時:2024年2月17日
場所:札幌にある某喫茶店
インタビュイー:う〜さん(高校3年生)
インタビュアー:長谷川友子(SNUG 代表)

う〜さんはココア。私はアイスコーヒー。


早速インタビューを始めます。う〜さんは、SNUGに関わるまでにたくさん課外活動をしていたのですか?

う〜さん:いや、全然していませんでした。
 ただ、同級生が課外活動をしている様子を見ていました。学校の授業の一環で「社会貢献をしよう」というとき「NPOインターンシップ」を知り、応募してみたというのがきっかけです。

SNUG(当時の名前は「任意団体snug」)にはどんな印象がありましたか?

う〜さん:SNUGの説明を聞いたあとは、「自分がやりたいことができそう!」と思いました。私は当時からジェンダーにも興味がありました。興味のあることにアプローチできそうだな、自分に適しているのでは?と思い、数ある団体の中でSNUGへのインターンを希望しました。

SNUGでどんな活動をしてきたか振り返ってみましょう。SNUGのインターンシップでの活動の最初は…令和4年度札幌市子ども議会の「サポーター」からでしたね。

う〜さん:令和4年度の札幌市子ども議会では、いろいろな方との距離感がわからないまま終えてしまいました。担当したグループをまとめるのも大変でした…。

 そもそも現場が初めてなのもあり、あわあわしました…。さらに子ども議会最後の市長報告会に出ることができず、苦い思いをしたのを覚えています。

この頃はファシリテーターを「司会じゃないな」くらいの認識で捉えていました。

 その後、「サイエンスアゴラ in 札幌~北海道これからの100年~(共催:札幌市・国立研究開発法人科学技術振興機構JST))」では初めてゆうこさん以外のファシリテーターさんにお会いしました。またグラフィックレコーディングもここで初めて見て、「なんだこれ、面白いぞ。」と思いました。

この頃から、本当にいろんな形の対話があるのだなと思ったし、「対話を回す機能がこんなにいろいろあるんだ」と思いました。

その後う〜さんは、企業×ユースによるSDGs協働ワークショップ「SDコン」のレベルアップ企画、「ユースのためのリーダーシップ研修」(主催:札幌市環境局)にも参加してくれました。

う〜さん:リーダーシップ研修は2回目のユースファシリテーション研修、3回目のユースグラフィック研修に参加しました。ここで初めて対話の場づくりのロジックを学びました。

 …ここまで話していて、面白い道のりだなと思っています。最初に子ども議会でまず現場に飛び込んで、サイエンスアゴラでいろんな世界に触れて、リーダシップ研修で対話の場づくりの理論を知るという流れで学んできました。

ファシリテーター研修を受けて感じたことはありますか?

う〜さん:ファシリテーションする中で、「聞く」ことと「(他者やその場を)観察する」ことが難しいと思いました。「こういうことをすればいいんだ」と頭で分かっていても、それを自分で咀嚼して実践するのがとても難しいと思いました。

う〜さんは難しかったと私に伝えてくれるとき、とても楽しそうにも見えます。

う〜さん:「難しいこと」は、「おもろい」と限りなく近い(笑)。私は正解がちゃんとあるものも好きです。でも、「できなくて、考えて、やってみる」という工程も好きです。

う〜さんは年度が変わって高校3年生になりました。受験を経て、進路が決まってからSNUGの活動に舞い戻ってきてくれました。
活動の再開は「令和5年度札幌市子ども議会」の「ユースファシリテーター」としての参加でしたね。前年度の活動も経て何か変化はありましたか。

う〜さん:今年度の札幌市子ども議会のテーマは「共生社会」。テーマを聞いて、「大人でも知らないことを小学生が?!」と思いました(笑)。

 ただ、ファシリテーションを学んだりSNUGに関わったことで、私自身より現場に意義を見出した状況で参加することができました。「子ども議員と一緒に共生社会について考えるチャンスだなと思っていました。

 そして今年度の子ども議会は、私自身みんなと一緒に考える余裕ができました。でも一緒に考えることにリソースを割きすぎず、「みんなを見る」こともほんのちょっとできるようになったかなと思っています。子ども議員と共生社会を考えるのは楽しかったです。

その後「令和5年度環境教育・子どもワークショップ(=みらしる2024)」のユースファシリテーターとして児童会館にてファシリテーターを務めました。子ども議会や「みらしる2024」の現場で学んだことはどんなことですか?

う〜さん:ファシリテーターは、一回で取らなければいけない情報量が結構多いなと思っています。脳の片側でテーマについて考えながら、もう片方でみんなの様子がどうか見なければいけない。

 それにみんなの様子は自分でなんとかできるものではないから、自分で見て、どういう状況か判断して、必要であれば手を差し伸べる。あまりにも忙しい(笑)!!学んだ上でも「それにしても難しい!」と思っていました。

子ども議会を経て、「みらしる2024」ではファシリテーターとしての自分に成長を感じたと教えてくれましたね。

う〜さん:自分で感じた変化は、みらしる2024では周りを観察する時間が増えたことです。ゆうこさんがレクチャーをしている間に子どもたちの様子をよく観察することができました。自分で「進化してる!!」って思いました。

 その場の学びの主体が子どもたちだからこそ、ファシリテーターとして「学びの場を円滑に回す側として見なければ」という自覚が生まれました。

それには「みらしる2024」の研修も影響していますか?

う〜さんみらしるの研修は、参加者からも学ぶことがとても多かったです。話すトーンや意図は聞いている人に届くのだなと実感しました。

 よくその場を観察している研修受講者の姿も当日参考にしました。途中からの参加だったので、たくさん吸収しようと必死でした(笑)。

さっぽろ気候変動タウンミーティング(札幌市環境局主催)」にも参加してくれています。

う〜さん:タウンミーティングはまず一番最初に「参加者層幅広い!!」と思いました。いろんな人が参加するということは聞いていたけれど、スタッフの人かな?と思うような方が参加者だったり。

 いろんな人が気候変動などのテーマに興味をもっていること、こういう場に来る意味をユースではない人も認知していることに「嬉しい!」と感じました。

 札幌の一角であんなにいろんな人が集まって対話できるのはすごく面白いことだな、と参加して思っていました。純粋に面白かったです。

タウンミーティング から雪まつり企画が始まりました。雪まつり企画では私が体調を崩してしまい参加できなかったミーティングからう〜さんは参加しましたよね。入れ違いでしたが本番は一緒にブースのスタッフをしました。

う〜さん:実は成長した点があります!雪まつり企画で調査する質問を考えるときに、メンバーでなんとなく煮詰まった瞬間がありました。なんとかアイデアを出さなければ!という時間に、内なるゆうこさんを呼び出したんですよ。

ゆうこ:それは…どういうこと(笑)?

う〜さん:(笑)。ファシリテーターのゆうこさんならどうするかな?と考えて、「そもそもどうしてやるんだっけ?」「どういう経緯だっけ?」ということをチームメンバーに問いかけたり確認することができました。

 そこでメンバーの思いを改めて聞くことができ、「楽しい企画にしてもいいんだ!」と思い出しました。そのあとメンバー一人ひとりで書き出してみたり試行錯誤して対話しながら準備を進めました。

雪まつり企画のブース運営はファシリテーションとはちょっと異なった取り組みでしたが、現場で場づくりをするという点はほかの現場とも似ていましたよね。

う〜さん:楽しかったです。ほかの場にいるメンバーや人を見ることを意識していました。あの日、ローテーションを組んで担当者を決めた瞬間ブースがうまく回り出したのを見てびっくりしました。ちゃんと機能や役割を持たせることって意味のあることなんだな、暇な人をつくらないってマジで大事だなと思いました。

 そうそう、雪まつり企画で印象的だった場面があります。来場者のお一人が「地球温暖化は嘘だ」という意見をおっしゃったときです。

 そのときに、スタッフとして「ここは論理立てて反論する場ではないな」と思い、「その方がどういう知識や前提のもので考えてきているのかを知る必要がある」と思ったんです。SNUGで活動する上で、自分と前提が違う人とも対話する意味があるということを学んでいたので、私は「ここは相手の背景を聞かなくては」と思いました。

 あとになってもやもやもしたけれど…。でも、意見が全く違う方がいるから自分の前提を疑えるのだな、とも思いました。

ゆうこ:とっさに判断を保留して問いかける対応を選んだというのは、う〜さんの成長ですね。「この場で自分はどのようにあったらいいのかな」と考えたってことですよね。反論することや話が合わないなと相手をジャッジすることもできたけれども、相手のことを知るために問いかけることができたんですね。

 私が全体をファシリテーションしている際、グループの中で起きていることなど細部を見ることが難しいなと思うときもあります。

 そんな現場ではう〜さんはよく細部をみてくれ、現場のあとにフィードバックをくれました。とても助かっていました。

ここまで詳しい取り組みごとにふりかえってきましたが、SNUGの対話やファシリテーションに触れてみて、全体的に印象に残っているところはありますか。

う〜さん:SNUGの対話の場にある…空気感でもないしマナーでもルールでもない何か…言葉にならないのですが、対話の場にある何かを体感して、ちょっと私の人生が好転したように思います。

 職業ではないのですが、自分が将来的にやりたいことが場づくりです。誰かが安心できる場所をつくりたいと思っています。

 実はそのきっかけが、自分の家です。私の家は、結構「昭和チック」な価値観の家。いい学校へ行って、いい仕事について、たくさんお金を稼ぐことが絶対的な幸せと言われて育ちました。

 最初私は期待されているように感じてとても嬉しかったのですが、同時にちょっとずつ不安になっていきました。そして「自分が長男じゃなかったらどうだったんだろう?」と考えることが増えました。そういった家での不安もあり、なんか悲しいなって思って。

 言葉になるまでは時間を用したのですが、SNUGの活動の中で「人を属性として見ない」ということを聞いて、「ええやん!」って思って。対話を通して自分の人生の核になるものができたように思います。

 ゆうこさんが大事にしているであろう「人を属性で見ない」というフレーズを聞いたときに親密度が上がったのを覚えています。

ゆうこ:そうなんだ。こうしてじっくり聞いてわかることがたくさんあります。

う〜さん:この間小学生のころのプチ文集を見返していました。「将来の自分にひとこと」というお題に沿って一言書くページに、ほかの子は「パティシエになっていますか?」と書いているのに、私は「いい会社に入っていますか?」と書いていました。

 「ああ、自分はこんなこと考えていたんだな」って思いました。当時はなんとか期待に応えなきゃいけないということをひしひしと感じていましたね。

 こういう誰かの期待や不安感を抱えている人って結構いるんじゃないかなと思っています。だからこそ安心できる場をつくりたいです。

SNUGは来年度から、インターンの制度を整理することを検討しています。これからSNUGでインターンする人にメッセージをいただけますか。

う〜さん:私はたくさんのことをSNUGのインターンで学ぶことができました。

 インターンをする人は、インターン先の団体から得るものがあると思って志望する人が多いのではと思います。でも、SNUGから学ぶことだけでなく「その場全体」から学ぶことができるとも思います。

 インターンで何かを学びたい人は、その人自身がSNUGの活動の中で「自分は何ができるのか」と考えたり「その場そのものを見る」ということが「何か」をくれるかもしれないと思っています。

新しい飲み物をオーダー。この次の話題は次回へ続きます。


う〜さん、ありがとうございました!


 実はう〜さんは「逆インタビュー」と称して私長谷川友子に対するインタビューを考えてきてくれていました。
その内容は後日アップしますので、ぜひお楽しみに…。

SNUGからのお知らせ

 さっぽろ気候変動タウンミーティングが進行中です!次回は2024年2月24日(土)14:00〜17:00、札幌エルプラザにて開催します。

 次回のテーマは「市民参加や市民活動が生まれるまちの姿とは?」というテーマです。講師には両角達平さん(日本福祉大学社会福祉学部 講師)をお呼びします。
 両角さんはスウェーデンの若者政策やユースワークを後研究されています。そんな両角さんに海外の事例などを教えていただきつつ私たちのまちのあり方を考えます。

さっぽろ気候変動タウンミーティング第5回目のチラシです!

 途中からのご参加、途中入退場も大歓迎ですので、ぜひお越しください。お申し込みはこちらから。

 また、「さっぽろ気候変動タウンミーティング」ではnoteにて日々の活動をコーディネーターや参加者が発信中!

note.com

 

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結び

 さて、今週もSNUG Journalを読んでいただきありがとうございました。今回は初のユースとのインタビュー企画でした。いかがでしたか?インタビューを通してSNUGのことをもっと知っていただけたら嬉しいです。
 今回の企画を通して、SNUGはもっとユースインターンを受け入れたいなと考えており、現在検討中です。
 さあ、今週末土曜日はさっぽろ気候変動タウンミーティングの第5回目。札幌はちょっと気温が高いです。ツルツル路面と体調には気をつけてくださいね。

 それではまた来週お会いしましょう!

 

2024年2月19日(月)
対話の場づくり屋 SNUG
代表 長谷川友子