SNUG Journal

「SNUG Journal」は毎週金曜日に発行! 対話のプログラム設計や教育、ファシリテーションを行う 「対話の場づくり屋 SNUG」の活動レポートや代表の考えなどを発信します。

「SNUG Journal」は毎週金曜日に発行!
 対話のプログラム設計や教育、ファシリテーションを行う 「話し合いの場づくり屋 SNUG」の活動レポートや代表の考えなどを発信します。

【第18号】令和5年度札幌市子ども議会の映像やさっぽろ気候変動タウンミーティングのレポートなど、公開続々!

「SNUG Journal」 へようこそ!

   対話の場づくり屋 SNUGにまつわる情報や活動内容、対話に関するトピックを毎週金曜日にお届けします。ライターはSNUG代表の  長谷川友子です。

 今回は第18号。最近続々と公開されている映像やレポートをお届けします。

 そして今日は国際女性デー!少しですがジェンダー平等についても書きました。

 今回も、ぜひ最後までお読みください!

 

「令和5年度札幌市子ども議会」の動画が札幌市のYouTubeチャンネルにアップ!!

 この「SNUG Journal」でもお伝えしてきた「令和5年度札幌市子ども議会(主催:札幌市子ども未来局)」の子ども議会委員会の過程と秋元克広札幌市長への報告会の様子の動画が札幌市公式YouTubeチャンネルにアップされました。 

 今年度の子ども議会のテーマは「共生社会」。子どもたちが考えた「共生」「共にいる」という状況の思考過程も映像に収められていますので、ぜひご覧ください。

 私長谷川友子は、子ども議会のファシリテーターとしてプログラム内容やワークシートのご提案、投影資料作成などの準備から当日の子ども議員の対話のサポートやファシリテーションを行ってきました。

 また、ユースファシリテーターの事前研修の講師やユースファシリテーターとのふりかえりなどの学びのサポートも行ってきました。

 この映像は市長報告会にとどまらず、ユースファシリテーター研修、子ども議会委員会全5回の過程、振り返りの風景も収められていて、この事業がどのように進んできたのかがわかり、見応えがあると思います。

 今回の市長報告会では子ども議員たちの提案の前にユースファシリテーターの代表から学びの報告の時間が設けられました。私はユースファシリテーターたちがどんなことを発表したいか、自分たちの言葉で作成している様子を見てきました。

 ユースファシリテーターたちの学びの報告は、対話の場づくりの担い手として大変心強く胸打たれる内容ですので、ぜひ見てほしいです。もちろん、子ども議員は素晴らしい提案をしています。

 ちなみに、今回の動画には講師やファシリテーターをしている現場の私の様子も映っています。SNUGが関わる現場にまだ参加したことがない知人たちがこの動画を見て、「あなたが実際に仕事している映像を初めて見た」との声をいただきまして、自分で言うのは憚られるのですが、確かに貴重映像かと思います(笑)。

www.youtube.com

 

 過去、子ども議会について書いた「SNUG Journal」はこちらから。

unitsnug.hatenablog.com

 

さっぽろ気候変動タウンミーティングの第4回、第5回のnoteをアップしました!

 現在私がワークショップコーディネーター、ファシリテーターを務めている「さっぽろ気候変動タウンミーティング(主催:札幌市環境局)」の第4回、第5回のレポートをコーディネーター目線で書いています。

 お写真やグラフィックも多めで書いていますので、ぜひ読んでください!

note.com

note.com

 残すところは明日のフィールドワークと第6回目「リフレクション&パーティ!私たちのまちで集まり対話することの可能性を想像しよう」です。

 さっぽろ気候変動タウンミーティングの最終回のタイトルに「ふりかえり」ではなく「リフレクション」という言葉をご提案したのは、「振り返る」というよりも「reflect(反射する、反映する、映す)」を大事にしたいというコーディネーターの視点からです。

 第6回は交流会もあります。これまでのタウンミーティングの歩みを反映させながら地域で集まり対話することの意義や可能性を対話するプログラムを予定しています。

 ぜひ最終回からでもご参加くださいね!

 

 そして、明日はタウンミーティングのフィールドワーク企画です。タイトルは、「ゼブゼブしてないZEB Ready!? 心地よさもCO2削減も追求する建築で私たちの未来を想像しよう」。

 参加者はバスに乗って「株式会社竹中工務店 北海道地区FMセンター」に見学に行きます。

 ゼブとは、ZEB(Net Zero Energy Building)。見学したあとは参加者と担当者さんと対話するプログラムも予定しています。私はファシリテーターを務めます。現地に赴いて、そこでどんな対話が生まれるのかとても楽しみです。

実は私一足先に現地に伺ったのですが、とっても魅力的で感激しました。

 

国際女性デーに寄せて

 今日は国際女性デー。女性の権利のために運動し行動してきた全ての女性たちに敬意を表します。そして、今とこれからを生きる全ての女性への暴力、抑圧、差別に反対します。

 私はSNUGとしてユース世代と関わることも多い立場です。

 よく大人の世代から「今の世代はジェンダーの偏見とかないんでしょ」「今の若者は進んでると思うけれど」というような言葉を聞くことがあるのですが、私の視点からはジェンダー平等が進んでいるとは言えません。

 既存のコミュニティから社会を学ぶユースや子どもは、むしろジェンダー平等の実現への無力感を学習し、不平等を内面化していると思うときは多々あります。

 まだまだです。ともに学び続けましょう。

 

結び

 さて、今週もお疲れさまでした。読んでくださって嬉しいです、ありがとうございました!

 真冬よりも今くらいの季節のほうが身体が冷えるように感じています。春の陽気に絆されるのにはまだまだ禁物。皆さんくれぐれもご自愛ください。

 また来週、ここ「SNUG Journal」でお会いしましょう。素敵な週末を! 

 

2024年3月8日
対話の場づくり屋 SNUG
代表 長谷川友子

【第17号】SNUGが務める「ワークショップコーディネーター」ってどんなお仕事なんだろう?ほか

「SNUG Journal」 へようこそ!

  対話の場づくり屋 SNUGにまつわる情報や活動内容、対話に関するトピックを毎週金曜日にお届けします。ライターはSNUG代表の 長谷川友子です。

 前回、前々回とインタビュー企画が続いたので、通常回は久しぶりです。

 今回は第17号。SNUGが行う「ワークショップコーディネーター」のお仕事について考察するほか、3週分(!)の取り組みを振り返ります。

 今回も、ぜひ最後までお読みください!

 

SNUGが務める「ワークショップコーディネーター」ってどんなお仕事?

 今回は、ワークショップコーディネーターの仕事について書きます。

ファシリテーション中の長谷川友子。

 SNUGは主催や関係者、参加者など関わる全員にとって意義のあるワークショップを実施するための「提案」をする仕事がワークショップコーディネーターだと考えています。

 そのためには主催の意向や意図を汲み取ったり、関係者の役割や関係性を把握しながら適切な提案をすることが必要です。

 SNUGは、効果的な提案を通してワークショップの過程や成果をより意義のあるものにすることを目指しています。

 

具体的にはどんなことをするの?

 具体的には、主催者や関係者に対して企画案や実施要項案を作成したり、タイムテーブルなど詳細なプログラム案などを作ります。こうした書類づくりは提案のキホン。書くことで共通認識とたたき台を作ることができます。

 「ワークショップコーディネーター」のお仕事はあくまで「提案」です。ですので「これでよし!」「これに決定します。」などと何かを決定するのはコーディネーターの仕事ではありません。

 さて、コーディネーターが提案したあとは関係者と決定したことをもとに投影スライドを作成したり会場設営図案を描いたりし、ワークショップの準備を進めます。

 

 当日は事前に集まり、プログラム内容やその意図を共有し最終調整を行います。そして、ワークショップが終わった後はふりかえりを行うことで次回をよりよいものにします。

タウンミーティングの主催者、スタッフとともに事前ミーティングをする様子。

 

さっぽろ気候変動タウンミーティングでSNUGはどんな提案をしたの?

 さっぽろ気候変動タウンミーティングを例に、ワークショップコーディネーターのお仕事を知っていただければと思います。

 このワークショップで提案したことは、例えばこんなこと。

・「さっぽろ気候変動タウンミーティング」というタイトル

・全6回を通してワークショップが目指す方向性やゴール

・各回のプログラム案と目的、タイトル

・講師と講師に頼みたいこと

・各回のタイムテーブル

・各回の必要備品とその配置

・ワークショップ内でのルール

・運営のファッションや態度、オーダーしたいこと

・グラフィッカーさんへオーダーしたいこと

・広報のイメージ

…そのほかも!

 もちろん、コーディネーターがいなくてもワークショップは実施できます。

 しかしSNUGは「対話に関する専門知」を活かすことで、ワークショップコーディネーターとして参加者が満足しつつ主催や関係者のニーズも満たすことができるワークショップや対話の場づくりに貢献できたらと考えています。

 SNUGは「ワークショップコーディネーター(ワークショップの設計)」と「ファシリテーター(対話の場のサポート)」をセットで担うことで、質の高い対話の場を探究しています。これが、SNUGが「対話の場づくり屋」を名乗る所以です。

ある日のミーティングの様子。真剣だが髪がぴょんぴょんしておる…。

 

 ではここから、そんなワークショップコーディネーターとファシリテーターを務めたさっぽろ気候変動タウンミーティングの様子をご報告します!

 

「さっぽろ気候変動タウンミーティング」第4回、第5回目が終了!

第4回「『気候正義』ってなんだろう?私たちのまちでともに考えよう」

 さて、タウンミーティング本編も2週続きました。第4回は、2024年2月18日(日)に京都大学大学院地球環境学堂の教授宇佐美誠さんをお呼びし、気候変動を正義論の観点から捉え直し対話するプログラムを実施しました。

 最初に参加者が持つ「正義」のイメージを可視化したあと、宇佐美さんの講義がスタート。その後参加者から対話したいテーマを募り、グループに別れて対話を行いました。

「正義」に対するイメージを集計するユーススタッフ。

「『先生』ではなく『宇佐美さん』と呼んでください」と
おっしゃった講師の宇佐美誠さん。

ちょっと大学の講義みたいな一面も…!


 講義のあとは、参加者が話したいテーマについてグループごとで対話を行いました。

対話したいテーマを考える参加者の様子と私。

 

第5回「市民参加や市民活動が生まれるまちの姿とは?」

 第5回は2月24日(土)に日本福祉大学社会福祉学部 講師の両角達平さんをお呼びし、スウェーデンの若者政策などを中心に民主主義や市民参加について考え、対話するプログラムを実施しました。

これまでのタウンミーティングをのグラフィック
(グラフィッカーあいであふぁくとりーの櫻井さん)
で振り返ってから学びをスタート!

 このタウンミーティングは毎回新たな参加者やお久しぶりの参加者がいて、毎回雰囲気が違います。



講師の「たっぺいさん」こと両角達平さん。

 講義のあとのグループでの対話では、ある言葉をきっかけに会場の雰囲気ががらっと変わる様子に立ち会うことができました。

 

 第5回目から、あいであふぁくとりーのさくちゃんこと櫻井さんからユースグラフィッカーにバトンタッチ。

 「みらしる2024」でユースグラフィッカーを担ったユースたちがグラフィッカーを務めました。第5回、第6回ともに二人ずつユースグラフィッカーが入ります!

 

ユースグラフィッカー、準備中の様子。


 

もう一人も、何やら準備しています。

このさっぽろ気候変動タウンミーティングでは各回のコーディネーターと参加者ライターによるレポートをnoteにて発信しています。

 …が!まだ第4回目と第5回目は執筆中。投稿されたらまたお知らせしますので、ぜひお読みくださいね!

note.com

 

番外編:タウンミーティング有志メンバーによるさっぽろ雪まつり企画が無事大盛況で終了しました!

会場のブースの様子。大盛況…!

 大通公園雪像もすっかりなくなり、もう随分と昔のような気になりますが、改めて「さっぽろ気候変動タウンミーティング」の参加者有志で準備し臨んださっぽろ雪まつりでの気候変動に関する意識調査は大盛況で終わりました。

 こちらはnoteを書きましたので、ぜひお読みください。

 タイトルは「ドキュメント:タウンミーティング参加者有志による雪まつりチームが実施した気候変動への意識調査企画の実施レポート!」です。 

note.com

 「気候変動に対する感情」や「気候変動に対してどれくらい自分のことのように思うか」「行動による影響力」など、感情や問題との距離感を大事にしているタウンミーティングらしい調査が実現しました。

 最初は初めましてだったタウンミーティング参加者がともに行動しようとする時間に立ち会うことができ、コーディネーターとして大変嬉しく思っていました。

 …何より楽しかったです。

 

タウンミーティングの最終回の前に!!「フィールドワーク」を実施します。

 タウンミーティングに参加したことがない方もぜひご参加ください。ご参加にはタウンミーティングへのお申し込みが必要です。ぜひこちらからお申し込みください!

 

タイトル:「ゼブゼブしてないZEB Ready!?
心地よさもCO2削減も追求する建築で私たちの未来を想像しよう」

日時:2024年3月9日(土) 14時00分~16時00分
(集合:13:20、解散:17:00頃を予定、集合場所は別途お知らせ)

訪問場所:株式会社竹中工務店 北海道地区FMセンター

 

概要
さっぽろ気候変動タウンミーティングでは、全6回のプログラムのほか、気候変動対策を学ぶことができる施設に見学するフィールドワークを実施します。

フィールドワークの行先は、第3回プログラムで参加者同士で対話を行った結果、一番意見の多かったZEB見学となりました。施設見学を快く引き受けていただいた、株式会社竹中工務店北海道地区FMセンターに訪問させていただきます。

www.city.sapporo.jp

 

最終回第6回の情報も公開されました!

「リフレクション&パーティ!
私たちのまちで集まり対話することの可能性を想像しよう」

日時:2024年3月20日(水) 14時00分~16時00分
(16時00分~17時00分は交流会を予定しています。)
場所:札幌エルプラザ2階会議室1・2(北区北8条西3丁目)

 第6回はタウンミーティングが一区切りつきますが、これまでをふりかえりつつ集まること、対話することの可能性について参加者で対話しながら深掘りする予定です。

 

 フィールドワーク、第6回ともに詳細はさっぽろ気候変動タウンミーティングホームページをぜひご覧ください!

 

結び

 「SNUG Journal」通常回は3週ぶりでしたが、いかがでしたか?ワークショップコーディネーターについてどのように思ったのか感想等も気になります。ぜひお気軽にSNSのDMやコメントで教えてください。

 さて、今日から3月!卒業式のユースもいらっしゃいますね。ご卒業を迎えた方、おめでとうございます。

 そして年度末で忙しない毎日の方も、逆にのんびりお過ごしの方もいらっしゃると思いますが、みなさんよい春を迎えられますように。

 ぜひまた来週の「SNUG Journal」でお会いしましょう。今日も読んでくださってありがとうございました。

 

2024年3月1日(金)深夜
対話の場づくり屋 SNUG
代表 長谷川友子

 

参考

(※1)最終閲覧2024年3月1日 weblio英和辞典「coordinate」https://ejje.weblio.jp/content/coordinate

【第16号】SNUGの長谷川友子ってどんな人?SNUGの歩みとは?ユースインターン「う〜さん」が深掘りします

「SNUG Journal」 へようこそ!

  対話の場づくり屋 SNUGにまつわる情報や活動内容、対話に関するトピックを毎週金曜日にお届けします。ライターはSNUG代表の長谷川友子です。

 さて、今回は第16号。前回はSNUGで1年半ほどユースインターン生として活動している「う〜さん」に長谷川友子がインタビューしましたが、今回はインタビュアーをスイッチ!ユースインターンから私に逆インタビューしてもらいました。

 今回は二人の対話をお送りします。インタビューを通して、SNUGの変遷や長谷川友子について知っていただき、より私たちを身近に感じてもらえたらと思っています。

 今回も、ぜひ最後までお読みください!

 

これまでのあらすじ

unitsnug.hatenablog.com

さて、飲み物を追加オーダーして「う〜さん」によるインタビューがスタート!

私はレモンジンガーに。

最初は長谷川友子のこれまでについて…

う〜さん:ではまず、雑談っぽいところから始めます。ゆうこさんのバックグラウンドから聞けたらと思いますが、ゆうこさんがこれまでに影響を受けたものはなんですか。なんでも教えてください!

 

ゆうこ:…いきなり難しい(笑)。でも、一番は演劇かな。私は高校生のとき、TEAM NACSに憧れていました。それで、札幌の地下劇場で演劇をしていました。

2015年3月 MAM「月ノツカイ」より左が私です。

 

 最近よく思い返すことがあります。一番最初に出た舞台の演出家の方に、役者をするときにとにかく「うまくやろうとするな」と言われてきました。小手先でなんとかするな、と。その言葉は私にとって大きかったのかも。

リリカル・バレット 1/2SHOT vol.4 「キミトオク」(2013年)の
舞台セットから見た客席の写真。

当時の写真…。

 今思うと、私にとって、演劇と対話は似ているところがあると思います。演劇は稽古して、何回も本番があります。映画と違い、演劇は再現できることが大事。その場で起こることを大事にしながらその場を成立させるということは、なんだかファシリテーションと似ているかもしれません。

 

う〜さん:初めて聞きました…!! 
実はこのインタビューに向けてSNUGの資料をいろいろ見返していました。そして、過去のゆうこさんのプロフィール案を持ってきました(資料を出す)。

ゆうこさんのプロフィール案の文章中に、「フィクションから現実の社会に関心が移った」とあります。Webサイトに掲載されることはありませんでしたが、ここに書いてある「フィクションに関心があった」とは…?

 

ゆうこ:私の原点は芸術です。芸術に対する関心一本で20歳くらいまできました。でも今は社会問題や公正な社会に向けた対話の場づくり屋をしています。今に至った経緯をお話しますね。 
 現実の社会は私にとってはハードでした。学校への馴染めなさや辛いニュースまで、自分にとって苦しいものからの避難所が私にとっては美術や音楽や演劇でした。

 二十歳前後までは「どんなときも芸術があれば救われる」と本気で思っていました。そして絵や演劇だったら自分の世界をつくれるのではないか、とも。自分の世界をつくることができたら、誰かが見てくれて何かが変わるのではと思っていたのだと思います。

 大学生に入ってからは授業外で友人たちと一人芝居をつくったり、展覧会運営も行いました。

友人とつくった一人芝居の公演の様子。

友人たちと実行委員を立ち上げ、
展示作品と公演作品どちらも鑑賞できる展覧会も運営しました。

 その後、それまでの不眠や諸々が重なって、うつ病になり大学を休学します。

 うつ病になったというのは私にとっては大きな出来事でした。というのも当時の私は芸術を見て感じる感性もなくなり、「私にとって芸術は万能でないのだ」と痛感しました。薬や治療ってすごいなとも思いました。

 若干引きこもりの期間も経て少しうつがマシになると、実家の近くにあった「NPO法人みなと計画」の事務所兼ラーメン屋兼カフェである「Café&noodles menkoiya(通称めんこいや)」に遊びにいくようになりました。めんこいやの橋本ご夫妻は「何も頼まなくても来ていいよ」と白湯を出して迎えてくれました。

 めんこいやでイベントの手伝いをしていたときに出会った友人が、対話のイベントに関わっていました。私は何気なくそのイベントに参加し、初めて「ファシリテーター」を見ました。衝撃でした。「みんなが対話できる場ってつくることができるのか!」と。

 それで、同じメンバーがファシリテーションしている「札幌市みんなの気候変動ゼミ」という札幌市環境局主催のワークショップに「ファシリテーター見たさ」で参加しました。当時の私は気候変動や社会課題に関心があるわけではありませんでした。でもワークショップに通ううちに気候変動について改めて知り「なんかやばいかも」と思いました。

 いや、いろいろ現実社会がやばいのは知っていたけれども、ずっと考えることから逃げ続けてきました。でも気候変動ゼミは、気候変動について関心があまりない私も受け入れてくれる対話の場だったので私のペースで気づき学ぶことができました。

 私にトドメを刺したのが、「紙を見て雲を思う」という言葉でした(※1)。この言葉は「雲があるから雨が降り、雨が降るから森林が育ち、森林が育つから紙ができる」というような意味です。当時の私は「紙を見て雲を思うくらいの想像力を持ちなさいよ」と発破をかけられたように感じました。

 私はこれまで芸術を通して「想像力を持つことが大事」と思ってきたけれども、例えば紙やキャンバスが地球の資源であることは考えていなかったことに気づきました。

 つまり、私は現実世界のことを全然想像していなかった、考えないようにしていた…。とてもショックでした。

 その言葉をきっかけに、私の想像力をフィクションから現実社会に向けようと思いました。私は今起きている社会のことも想像したいなと。そのためには対話の場が必要だと思い今に至っています。

 もちろん今でも芸術は好きですし社会に不可欠だと思っています。でも、私がやらなくてもいいなと思いました。

 これが、「フィクションから現実世界に関心が移った」と書いた経緯なのですが、わかりづらいですね。プロフィール文に採用しなくてよかった(笑)。

 

SNUGの内容について対話は進みます

う〜さん:お仕事じゃないゆうこさんについてあまり知る機会がないので新鮮です。 
…ではぼちぼち、対話やファシリテーターについて聞いてきます。
改めて、対話やファシリテーターってなんですか。

 

ゆうこ:「対話」や「ファシリテーター」ってたくさん定義がありますよね。私は「目的に向かって話したり聞いたり一緒に考えること」と説明することがあります。

 が、対話にもいろいろあるし、その場にいる人たちやその場の目的によっても正確な意味は変わってきます。だから、言い換えるなら「話し合い」。

 でも「話し合い」だと「話す」に重点が置かれてしまう気がして、「話し合い」という言葉はあまり使いません。

 「聞くこと」「考えること」「一緒にそこにいること」も「話す」ことと同じくらい大事なことだよね、という思いを込めて「対話」という言葉を使っています。

 「ファシリテーター」もまたいろいろな定義があります。私が考えるファシリテーターとは、その場にいる全員が対話に参加できるよう参加者をサポートする役割や仕事のことです。

 

う〜さん:ありがとうございます。今言ってくれたことと被るかもしれませんが、ゆうこさんが思う「対話」と「会話」の違いはなんですか。

 

ゆうこ:私なりの捉え方だと、「会話」は話すことやコミュニケーションを取ること自体が目的です。友達とおしゃべりしたり、雑談したりも会話の例かと。

 一方「対話」は、話し合う過程も大事ですが、話した結果何が起こるかな?ということも大事なものと捉えています。

 

う〜さん:はぁー!なるほど。ありがとうございます。次はこっちを聞こうかな…。
ゆうこさんはよく、よりよい対話は「公正な対話」だと言いますよね。
対話の中の公正さや、ゆうこさんが思う公正な対話の必要性について教えてください。

 

ゆうこ:私はただ対話するだけでは不十分だと考えています。

 特定の人ばかり話していたり、思っていることがあるのに言えない人がいることは不公正ですよね。私は、よい対話において大きく影響するのは「個人のコミュニケーション能力」ではなく「集まった人たちの中にある力関係」だと考えています。

 だから「社会構造を踏まえた上で対話をしましょう」という意味を込めて公正な対話が大事だと考えています。

 属性によって偏見を向けられること、被差別経験を持っている人や属性、いろんな個人のバックグラウンド…それらを考慮せずに「自由に対話しましょう」としてしまうと、対話で起こることは日常で起こることの再生産になるかなと思っています。

 もちろんある程度の非日常性を持たせることで、対話を日常の会話よりも質を高めることはできると思います。でも対話はもっと実用的で、変化を起こす力があると思っています。

 対話の場って、いろんな人が集まっているし力関係も存在しますから「小さな社会」と捉えることもできます。

 対話の場は、今ある社会構造を変えていけないかと考える場であり手段であると捉えています。

 

う〜さん:ちょっと確認しますね。公正な対話じゃないと日常で起きていることを繰り返すことになってしまう。だから小さい社会として対話の場を見たときに、社会構造を…なくす?ということですか。

 

ゆうこ:対話の場の中で社会構造を完全になくすのは難しいし、すぐには無理だと思います。だから…対話の場で社会構造を問い直す、というのが近いかも。

う〜さん:なるほど…。大事ですよね…。
では、ゆうこさんが考える対話の場に影響する社会構造にはどんなものがありますか。

 

ゆうこ:年功序列的な価値観や男性優位な構造、そして経験至上主義的な価値観かなと思います。

 年功序列的な価値観はどういうことかというと、圧倒的に年上の人や年配者が対話の場で発言しやすく、比較的年齢が若い人が発言や自由な態度を抑圧される傾向などのことです。

 例えば、ユース世代が対話の場にいるとしばしば大人がユースに対して「若いのにすごいね」と言っているのを目にします。一見褒めているように見えますが、言われたユースはいい気がしないことも多いです。なぜなら、ユースを個人ではなく「若い人」という属性として見ていますよね。

 もっと言うと、「若い『のに』」という言葉は「(本来)若いということは未熟なはず」という無意識の偏見だと捉えることもできると思います。

 男性優位というのは言わずもがなですが、特に日本はジェンダーの格差は大きいので女性は対話の場で抑圧される傾向にあります。

 例えば通称マンスプと言われるマンスプレイニング。男性が女性に対して自分が持っている知識をひけらかしたり、相手が物事を知らないと決めつけて解説したりして相手の時間や労力を奪うことはよく見られます(※2)。

 経験至上主義的な価値観とは、先に上げたものと重なる部分もありますが、とにかく「経験している人が偉い」というような価値観だと思っています。

 例えば「社会に出ていない若者には伝わらない」「慣れたらわかるよ」「俺ができたからあなたもできる」などという言葉に表されるように、経験者が、経験が浅い人のことを軽視したり、求められていないアドバイスをする態度はよく見られます。

 このほかにも対話の場にいる人が持っているマジョリティ性、マイノリティ性は対話の場に影響します。だからこそ社会構造を理解したファシリテーターが対話の場に入る必要があると思っています。

 

SNUGリニューアルとその背景とは…?

 

う〜さん:ありがとうございます…。「任意団体snug」から、「対話の場づくり屋 SNUG」となったときに心境の変化はあったのですか。スナッグが大文字になりましたね。

 

ゆうこ:めちゃ大きな心境の変化がありました。このあたり、う〜さんの進路準備も重なってちゃんと説明していなかったね…。

 実は、私は2023年の9月くらいまで、ほかの場所で稼ぎながら対話の場づくりをしていこうと思っていました。

 これまでにもいろいろな場所で非正規雇用で働いてきました。ただ私は多動傾向にあり、同じ場所に通うこと、座り続けること、時間までその場にいなくてはいけないことが苦手で、ずっと困ってきました。そして数ヶ月前に、いよいよ「どうやら私は本当に『普通に』働くことが苦手だ」ということがわかりました。

 大文字SNUGになる前までは、どこかで「本気を出せば雇用されて働けるもん」と思ってきました。でも、いろいろ試したけれど無理だった。

 それをかかりつけの心療内科の医師に相談したところ、医師は声高に(?)「マイノリティとしての働き方に邁進せよ。」とおっしゃいました。そして、「あなたの仕事の内容やスタンス、考えをしっかり発信しなさい」とも。

  それで、Webサイトのリニューアル、InstagramやこのSNUG Journalの開設を進めました。私の仕事を知ってもらうために「対話の場づくり屋」というキャッチフレーズもいろんな方に相談して考えました。

新しいロゴもできました!

 

う〜さん:確かに、大文字SNUGになってからはちげえな、と思いますよ(笑)。何が違うかって言われたら難しいですけれど…。でも、態度が変わったんでしょうね。

 

ゆうこ:大文字になるまで、私の中に「いろいろやらせてもろてますけど…(照)」みたいな照れや謙遜があったかもしれません。もちろん誠実に仕事をしてはいましたけど。

 でも大文字SNUGになるにあたって、謙遜するのもやめなきゃな…と。実は「社会課題に取り組む」「対話を大事に」と言うことが心の底では恥ずかしいと思う時期もありました。でも、いいかげん照れるのやめようと思って。大事なものは大事だし。

 

う〜さん:それこそ、ゆうこさんから照れている感じが抜けましたね。インターンして一年目のときに、ゆうこさんは「対話の場で女性だし若いから舐められるかも」と私にこぼしていました。そのときの雰囲気が今はないです(笑)。

 

ゆうこ:まあ、よく舐められますけどね。でも今は「舐めるなら舐めてください」という感じ。とカッコつけましたがよく凹むし落ち込みます(笑)。

 

う〜さん:最後に、ゆうこさんがユースに見出している価値を教えてほしいです。ユースの教育事業やリーダーシップ研修などをしているということは、若い世代に何かを見出しているのだろうと思っていますが、どんなことですか?

 

ゆうこ:なぜここまでユースに拘っているかというと、さっき話した社会構造によってユース世代が抑圧されているからです。ユース世代が「すごいから」「ユースに価値を見出しているから」というよりも、ユース世代の身に起きていることが社会に伝わっていないという強い課題感があります。

 例えば、ユースが感じていることや不安を口にしたときに、大人によく聞かれずにアドバイスされてしまう。ユース世代って、めっちゃアドバイスされていると思います。もちろんアドバイスは時に大事ですが、いつもアドバイスされていては「自分の発言に影響力がないんだ」「大人の話を黙って聞いていたほうが丸く収まる」というふうに思っちゃいますよね。それではユース世代は自己効力感がなくなって当然だなと思います。

 また、ユースはアドバイスのほかにたくさんのジャッジにさらされています。例えば何かユースが声を上げたときに、「まず勉強しろ」「稼いでから物を言え」というような価値観が色濃く存在します。

 そんな中だと、大人に対して「いい子」にならざるを得ないなと思います。一方で、「若者らしさ」も社会から求められます。例えば、「若者ならではの自由なアイデアを」とか「新しい価値観を」というような言葉で。

 だからSNUGは、ユースのエンパワーメントのためにも対話の場づくりを大切にしています。

 さらにユース世代がこれからの社会を生きていく上で必要なリーダーシップを学ぶことができればと思い、その一つの手段として「対話の技術」、つまりファシリテーションやグラフィックレコーディングを学ぶ場づくりや研修もしています。

 ユース世代がエンパワーメントされ対話を学ぶことで「それって偏見じゃない?」「それってアドバイスじゃない?」というような視点を自ら持てるようになり、自身の抑圧から逃れるきっかけになればと思っています。

 

う〜たん:ユースが抑圧されていることは聞いていたけれど、深い背景を聞くことができてよかったです。…すごく共感します。
改めて、インタビューするのもされるのもめっちゃ楽しかったし、学びもたくさんありました。今までの活動を振り返ってみて、約1年半の間に色々なことを学ばせてもらったと改めて感じました。これからもよろしくお願いします!

二人の飲み物もなくなったところでそろそろお開きに。

SNUGからのお知らせ

 2024年2月24日(土)14:00〜17:00は「さっぽろ気候変動タウンミーティング」です!

 第5回目は「市民参加や市民活動が生まれるまちの姿とは?」というテーマで開催します。

 講師には若者の社会参加やスウェーデンの民主主義や若者政策をご研究している両角逹平さん(日本福祉大学社会福祉学部 講師)をお呼びします!

フライヤーはこちら!

 直前までお申し込みを受け付けていますので、ぜひこちらからお申し込みしていただきタウンミーティングにご参加ください!私はファシリテーターとして皆さんをお待ちしてます。

 タウンミーティングの様子や活動をコーディネーターや参加者目線で発信中です。こちらも併せてお読みくださいね!

note.com

結び

 さて、前回から続くインタビュー企画が一旦終了です。インタビューをしてみて、改めて対話することで言葉になること、考えることもたくさんあるなと思いました。

 今回の対話を通して学んだことがありました。それは、今までSNUGとしてユースへの遠慮があったなということです。どうしても「私なんかが」と思ってしまっていたなと。

 これからのSNUGは、ユースに対して「ここにいてもいいんだよ」と胸を張って伝えられるようにしたい思います。なので、来年度からのSNUGのインターンやそのほかの関わり方の仕組みを考えようと思っています。

 何よりSNUGインターンであるう〜さんに感謝しています。いつもありがとう(このブログの校正もサポートしてくれました)。そしてSNUGを支えてくださる皆さんに感謝しています。

 さて、今週も読んでくださってありがとうございました!今回もボリューミーでしたが、みなさんいかがでしたか。ぜひ感想も教えてください。

 さて明日はタウンミーティング。どんな場になるのか楽しみです。

 それでは、来週もSNUG Journalでお会いしましょう。

 

2024年2月23日(金)20:00
対話の場づくり屋 SNUG
代表 長谷川友子

 

参考

(※1)のちにティック・ナット・ハンという修行僧の言葉だということを知りました)

(※2)「マンスプレイニングとは・意味」https://ideasforgood.jp/glossary/mansplaining/(最終閲覧日2024年2月23日)

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【第15号】SNUGインタビュー企画「う〜さん編」:インターンからみた対話の場づくり屋SNUGとは…?

「SNUG Journal」 へようこそ!

  対話の場づくり屋 SNUGにまつわる情報や活動内容、対話に関するトピックを毎週金曜日にお届けします。ライターはSNUG代表の 長谷川友子です。

 さて、今回は第15号。今回から新企画「ユースへのインタビュー」です。記念すべき第1回目はSNUGで1年半ほどユースインターン生として活動している「う〜さん」にSNUGや対話、ファシリテーションについてじっくりお聞きしました。

 SNUGを間近で見てきたユースインターン生はどんなことを思っているのか、またSNUGが日々どのようなことをしているのか知っていただきたいです。

 今回も、ぜひ最後までお読みください!

 

ではさっそくインタービュー内容へ!

  SNUGのインターンう〜さんがSNUGと出会ったきっかけは2022年度のNPOインターンシップ(主催:札幌市市民活動サポートセンター)

NPOインターンシップ」とは、対象は30歳以下を対象としたNPO団体の一員として一緒に活動することによって、団体の活動や社会課題への向き合い方について学ぶことができるプログラムです。

 参加団体の説明を受けた参加者が、自分が一緒に活動してみたい団体を希望しマッチングが行われました。う〜さんはSNUGを第一希望としてくれインターン生となり活動をしてきました。

 そしてNPOインターンシップの期間が終わっても、継続してSNUGのインターン活動をしています。そんなう〜さんと、SNUGで活動してきた今までについて振り返ります。

インタビュー日時:2024年2月17日
場所:札幌にある某喫茶店
インタビュイー:う〜さん(高校3年生)
インタビュアー:長谷川友子(SNUG 代表)

う〜さんはココア。私はアイスコーヒー。


早速インタビューを始めます。う〜さんは、SNUGに関わるまでにたくさん課外活動をしていたのですか?

う〜さん:いや、全然していませんでした。
 ただ、同級生が課外活動をしている様子を見ていました。学校の授業の一環で「社会貢献をしよう」というとき「NPOインターンシップ」を知り、応募してみたというのがきっかけです。

SNUG(当時の名前は「任意団体snug」)にはどんな印象がありましたか?

う〜さん:SNUGの説明を聞いたあとは、「自分がやりたいことができそう!」と思いました。私は当時からジェンダーにも興味がありました。興味のあることにアプローチできそうだな、自分に適しているのでは?と思い、数ある団体の中でSNUGへのインターンを希望しました。

SNUGでどんな活動をしてきたか振り返ってみましょう。SNUGのインターンシップでの活動の最初は…令和4年度札幌市子ども議会の「サポーター」からでしたね。

う〜さん:令和4年度の札幌市子ども議会では、いろいろな方との距離感がわからないまま終えてしまいました。担当したグループをまとめるのも大変でした…。

 そもそも現場が初めてなのもあり、あわあわしました…。さらに子ども議会最後の市長報告会に出ることができず、苦い思いをしたのを覚えています。

この頃はファシリテーターを「司会じゃないな」くらいの認識で捉えていました。

 その後、「サイエンスアゴラ in 札幌~北海道これからの100年~(共催:札幌市・国立研究開発法人科学技術振興機構JST))」では初めてゆうこさん以外のファシリテーターさんにお会いしました。またグラフィックレコーディングもここで初めて見て、「なんだこれ、面白いぞ。」と思いました。

この頃から、本当にいろんな形の対話があるのだなと思ったし、「対話を回す機能がこんなにいろいろあるんだ」と思いました。

その後う〜さんは、企業×ユースによるSDGs協働ワークショップ「SDコン」のレベルアップ企画、「ユースのためのリーダーシップ研修」(主催:札幌市環境局)にも参加してくれました。

う〜さん:リーダーシップ研修は2回目のユースファシリテーション研修、3回目のユースグラフィック研修に参加しました。ここで初めて対話の場づくりのロジックを学びました。

 …ここまで話していて、面白い道のりだなと思っています。最初に子ども議会でまず現場に飛び込んで、サイエンスアゴラでいろんな世界に触れて、リーダシップ研修で対話の場づくりの理論を知るという流れで学んできました。

ファシリテーター研修を受けて感じたことはありますか?

う〜さん:ファシリテーションする中で、「聞く」ことと「(他者やその場を)観察する」ことが難しいと思いました。「こういうことをすればいいんだ」と頭で分かっていても、それを自分で咀嚼して実践するのがとても難しいと思いました。

う〜さんは難しかったと私に伝えてくれるとき、とても楽しそうにも見えます。

う〜さん:「難しいこと」は、「おもろい」と限りなく近い(笑)。私は正解がちゃんとあるものも好きです。でも、「できなくて、考えて、やってみる」という工程も好きです。

う〜さんは年度が変わって高校3年生になりました。受験を経て、進路が決まってからSNUGの活動に舞い戻ってきてくれました。
活動の再開は「令和5年度札幌市子ども議会」の「ユースファシリテーター」としての参加でしたね。前年度の活動も経て何か変化はありましたか。

う〜さん:今年度の札幌市子ども議会のテーマは「共生社会」。テーマを聞いて、「大人でも知らないことを小学生が?!」と思いました(笑)。

 ただ、ファシリテーションを学んだりSNUGに関わったことで、私自身より現場に意義を見出した状況で参加することができました。「子ども議員と一緒に共生社会について考えるチャンスだなと思っていました。

 そして今年度の子ども議会は、私自身みんなと一緒に考える余裕ができました。でも一緒に考えることにリソースを割きすぎず、「みんなを見る」こともほんのちょっとできるようになったかなと思っています。子ども議員と共生社会を考えるのは楽しかったです。

その後「令和5年度環境教育・子どもワークショップ(=みらしる2024)」のユースファシリテーターとして児童会館にてファシリテーターを務めました。子ども議会や「みらしる2024」の現場で学んだことはどんなことですか?

う〜さん:ファシリテーターは、一回で取らなければいけない情報量が結構多いなと思っています。脳の片側でテーマについて考えながら、もう片方でみんなの様子がどうか見なければいけない。

 それにみんなの様子は自分でなんとかできるものではないから、自分で見て、どういう状況か判断して、必要であれば手を差し伸べる。あまりにも忙しい(笑)!!学んだ上でも「それにしても難しい!」と思っていました。

子ども議会を経て、「みらしる2024」ではファシリテーターとしての自分に成長を感じたと教えてくれましたね。

う〜さん:自分で感じた変化は、みらしる2024では周りを観察する時間が増えたことです。ゆうこさんがレクチャーをしている間に子どもたちの様子をよく観察することができました。自分で「進化してる!!」って思いました。

 その場の学びの主体が子どもたちだからこそ、ファシリテーターとして「学びの場を円滑に回す側として見なければ」という自覚が生まれました。

それには「みらしる2024」の研修も影響していますか?

う〜さんみらしるの研修は、参加者からも学ぶことがとても多かったです。話すトーンや意図は聞いている人に届くのだなと実感しました。

 よくその場を観察している研修受講者の姿も当日参考にしました。途中からの参加だったので、たくさん吸収しようと必死でした(笑)。

さっぽろ気候変動タウンミーティング(札幌市環境局主催)」にも参加してくれています。

う〜さん:タウンミーティングはまず一番最初に「参加者層幅広い!!」と思いました。いろんな人が参加するということは聞いていたけれど、スタッフの人かな?と思うような方が参加者だったり。

 いろんな人が気候変動などのテーマに興味をもっていること、こういう場に来る意味をユースではない人も認知していることに「嬉しい!」と感じました。

 札幌の一角であんなにいろんな人が集まって対話できるのはすごく面白いことだな、と参加して思っていました。純粋に面白かったです。

タウンミーティング から雪まつり企画が始まりました。雪まつり企画では私が体調を崩してしまい参加できなかったミーティングからう〜さんは参加しましたよね。入れ違いでしたが本番は一緒にブースのスタッフをしました。

う〜さん:実は成長した点があります!雪まつり企画で調査する質問を考えるときに、メンバーでなんとなく煮詰まった瞬間がありました。なんとかアイデアを出さなければ!という時間に、内なるゆうこさんを呼び出したんですよ。

ゆうこ:それは…どういうこと(笑)?

う〜さん:(笑)。ファシリテーターのゆうこさんならどうするかな?と考えて、「そもそもどうしてやるんだっけ?」「どういう経緯だっけ?」ということをチームメンバーに問いかけたり確認することができました。

 そこでメンバーの思いを改めて聞くことができ、「楽しい企画にしてもいいんだ!」と思い出しました。そのあとメンバー一人ひとりで書き出してみたり試行錯誤して対話しながら準備を進めました。

雪まつり企画のブース運営はファシリテーションとはちょっと異なった取り組みでしたが、現場で場づくりをするという点はほかの現場とも似ていましたよね。

う〜さん:楽しかったです。ほかの場にいるメンバーや人を見ることを意識していました。あの日、ローテーションを組んで担当者を決めた瞬間ブースがうまく回り出したのを見てびっくりしました。ちゃんと機能や役割を持たせることって意味のあることなんだな、暇な人をつくらないってマジで大事だなと思いました。

 そうそう、雪まつり企画で印象的だった場面があります。来場者のお一人が「地球温暖化は嘘だ」という意見をおっしゃったときです。

 そのときに、スタッフとして「ここは論理立てて反論する場ではないな」と思い、「その方がどういう知識や前提のもので考えてきているのかを知る必要がある」と思ったんです。SNUGで活動する上で、自分と前提が違う人とも対話する意味があるということを学んでいたので、私は「ここは相手の背景を聞かなくては」と思いました。

 あとになってもやもやもしたけれど…。でも、意見が全く違う方がいるから自分の前提を疑えるのだな、とも思いました。

ゆうこ:とっさに判断を保留して問いかける対応を選んだというのは、う〜さんの成長ですね。「この場で自分はどのようにあったらいいのかな」と考えたってことですよね。反論することや話が合わないなと相手をジャッジすることもできたけれども、相手のことを知るために問いかけることができたんですね。

 私が全体をファシリテーションしている際、グループの中で起きていることなど細部を見ることが難しいなと思うときもあります。

 そんな現場ではう〜さんはよく細部をみてくれ、現場のあとにフィードバックをくれました。とても助かっていました。

ここまで詳しい取り組みごとにふりかえってきましたが、SNUGの対話やファシリテーションに触れてみて、全体的に印象に残っているところはありますか。

う〜さん:SNUGの対話の場にある…空気感でもないしマナーでもルールでもない何か…言葉にならないのですが、対話の場にある何かを体感して、ちょっと私の人生が好転したように思います。

 職業ではないのですが、自分が将来的にやりたいことが場づくりです。誰かが安心できる場所をつくりたいと思っています。

 実はそのきっかけが、自分の家です。私の家は、結構「昭和チック」な価値観の家。いい学校へ行って、いい仕事について、たくさんお金を稼ぐことが絶対的な幸せと言われて育ちました。

 最初私は期待されているように感じてとても嬉しかったのですが、同時にちょっとずつ不安になっていきました。そして「自分が長男じゃなかったらどうだったんだろう?」と考えることが増えました。そういった家での不安もあり、なんか悲しいなって思って。

 言葉になるまでは時間を用したのですが、SNUGの活動の中で「人を属性として見ない」ということを聞いて、「ええやん!」って思って。対話を通して自分の人生の核になるものができたように思います。

 ゆうこさんが大事にしているであろう「人を属性で見ない」というフレーズを聞いたときに親密度が上がったのを覚えています。

ゆうこ:そうなんだ。こうしてじっくり聞いてわかることがたくさんあります。

う〜さん:この間小学生のころのプチ文集を見返していました。「将来の自分にひとこと」というお題に沿って一言書くページに、ほかの子は「パティシエになっていますか?」と書いているのに、私は「いい会社に入っていますか?」と書いていました。

 「ああ、自分はこんなこと考えていたんだな」って思いました。当時はなんとか期待に応えなきゃいけないということをひしひしと感じていましたね。

 こういう誰かの期待や不安感を抱えている人って結構いるんじゃないかなと思っています。だからこそ安心できる場をつくりたいです。

SNUGは来年度から、インターンの制度を整理することを検討しています。これからSNUGでインターンする人にメッセージをいただけますか。

う〜さん:私はたくさんのことをSNUGのインターンで学ぶことができました。

 インターンをする人は、インターン先の団体から得るものがあると思って志望する人が多いのではと思います。でも、SNUGから学ぶことだけでなく「その場全体」から学ぶことができるとも思います。

 インターンで何かを学びたい人は、その人自身がSNUGの活動の中で「自分は何ができるのか」と考えたり「その場そのものを見る」ということが「何か」をくれるかもしれないと思っています。

新しい飲み物をオーダー。この次の話題は次回へ続きます。


う〜さん、ありがとうございました!


 実はう〜さんは「逆インタビュー」と称して私長谷川友子に対するインタビューを考えてきてくれていました。
その内容は後日アップしますので、ぜひお楽しみに…。

SNUGからのお知らせ

 さっぽろ気候変動タウンミーティングが進行中です!次回は2024年2月24日(土)14:00〜17:00、札幌エルプラザにて開催します。

 次回のテーマは「市民参加や市民活動が生まれるまちの姿とは?」というテーマです。講師には両角達平さん(日本福祉大学社会福祉学部 講師)をお呼びします。
 両角さんはスウェーデンの若者政策やユースワークを後研究されています。そんな両角さんに海外の事例などを教えていただきつつ私たちのまちのあり方を考えます。

さっぽろ気候変動タウンミーティング第5回目のチラシです!

 途中からのご参加、途中入退場も大歓迎ですので、ぜひお越しください。お申し込みはこちらから。

 また、「さっぽろ気候変動タウンミーティング」ではnoteにて日々の活動をコーディネーターや参加者が発信中!

note.com

 

改めて各種お知らせを…

・SNUG公式LINE 
 SNUG公式LINEがスタートしています。ワークショップやイベント情報をお届けしており、モットーは「通知を増やさない」です。以下のボタンからぜひご登録ください!

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Instagramで日々の活動を発信しています 
 Instagramでは投稿やストーリーズで日々の現場や取り組みを発信中。フォローはこちらから!

結び

 さて、今週もSNUG Journalを読んでいただきありがとうございました。今回は初のユースとのインタビュー企画でした。いかがでしたか?インタビューを通してSNUGのことをもっと知っていただけたら嬉しいです。
 今回の企画を通して、SNUGはもっとユースインターンを受け入れたいなと考えており、現在検討中です。
 さあ、今週末土曜日はさっぽろ気候変動タウンミーティングの第5回目。札幌はちょっと気温が高いです。ツルツル路面と体調には気をつけてくださいね。

 それではまた来週お会いしましょう!

 

2024年2月19日(月)
対話の場づくり屋 SNUG
代表 長谷川友子

 

 

【お知らせ】第15号延期します

こんばんは。SNUGの長谷川友子です。

札幌は寒さが和らいだと思ったらまた寒くなってきました。

今週のSNUG Journalはお休みします。

楽しみにしてくださった方、ごめんなさい。次のブログまでお待ちください…!

それではまた次のSNUG Journalでお会いしましょう。

 

SNUG代表 長谷川友子

【第14号】「話し合い」から「対話」の場づくり屋へ。SNUGは(少しずつ)変わります

「SNUG Journal」 へようこそ!

  対話の場づくり屋 SNUGにまつわる情報や活動内容、対話に関するトピックを毎週金曜日にお届けします。ライターはSNUG代表の 長谷川友子です。

 札幌は雪まつりも始まり賑わっているようですね。今週の私は自宅に引きこもりがちの生活をしていたのであまり実態を把握できておりません…。

 さて、今回は第14号。今回は絶賛始動中「さっぽろ気候変動タウンミーティング」から生まれた雪まつり企画の中継と、SNUGのリニューアルについてお伝えします。

 今回も、ぜひ最後までお読みください!

 

 ではまずは…!

タウンミーティング有志メンバーが雪まつりでたのしいことやろう企画を絶賛始動中!

 札幌市環境局主催の「さっぽろ気候変動タウンミーティング」第3回の気候変動おしゃべりカフェにて、「雪まつりの札幌市ブースで何か楽しいことをしませんか?」というお呼びかけがありました。

 そのお呼びかけに応えたタウンミーティング参加者の有志メンバーで雪まつりチームを結成!

会場図面を見ながらみんなで案を考え中。

 ミーティングを重ねながら、雪まつりの来場者にほっと一息ついてもらいながら気候変動についての調査もしちゃおう!という企画が始動しています。

 

準備の様子。何をつくっているのかは当日のお楽しみ…!

 ぜひ雪まつりの札幌市ブースへお立ち寄りくださいね!詳細は以下のとおりです。

日時:2024年2月11日(日)13:00〜15:00くらい
開催場所:雪まつり6丁目会場のプレハブ内

 

 また、さっぽろ気候変動タウンミーティングのnoteでもコーディネーター視点で毎回レポートを書いています。ぜひお読みください! 

note.com

 そして、第4回のタウンミーティングは以下のとおり実施します。参加者が対話する時間をたくさん取りながら、新たな地域の学びのあり方を探求します。タウンミーティングもいよいよ折り返しの回です。コーディネーター、ファシリテーターとして皆さんをお待ちしています!

 お申し込みはこちらから!途中からのご参加も大歓迎です。

さっぽろ気候変動タウンミーティング 第4回のテーマは気候正義!

みらしるのユースグラフィッカーのグラフィックが届きました!

 先日私長谷川友子がファシリテーターを務めた札幌市環境局主催の「みらしる2024」こと環境教育・子どもワークショップ

unitsnug.hatenablog.com

 この「みらしる2024」に参加した「ユースグラフィッカー」のグラフィックを一部紹介します。

 ユースグラフィッカーは、絵や文字や記号(グラフィック)で子どもたちの対話を可視化することで対話を活性化し、記録をしながら子どもたちの学びをサポートしました。

 今回はグラフィックの経験者から全くの未経験者まで多様なユースが参加。グラフィックの全貌は今後札幌市のHPで見ることができると思いますが、ここでは一足先にユースグラフィッカーのグラフィックの一部をご紹介します!

 

 同じ研修、同じプログラムでも現場やグラフィッカーさんによって色も描き方も本当に多様。ユースグラフィッカーさんへの素晴らしい研修を行ったのはレゾナントサイン酒井麻里さんでした。

 私長谷川友子は本部で画面越しにしか子どもたちを見ることができなかったため、ユースグラフィッカーたちのグラフィックを見ながら参加者の当日の様子をたくさん知ることができました。そして現場のユースファシリテーターさんたちもたくさんの声を引き出していることが伝わってきました。


SNUGの変化とその理由

 さてお次は、ここ最近のSNUGについてお話します。ここ1週間の間に、二つの大きな変化をしました。

 

 一つ目は、ロゴです。

新・SNUGのロゴです。

 SNUGのWebサイト、InstagramFacebookのアイコンを一新しました。前はロゴに「話し合いの場づくり屋」という文字が入っていましたが、よりシンプルにしてみました。

 遊び心Ver.もあります。

SNUG ロゴ 遊びゴコロ ver.

 

 二つ目の変化は、SNUGの説明を「対話の場づくり屋」としたことです。ひっそりとこのブログ「SNUG Journal」のヘッダー画像も変更されています。

 変更前はSNUGを「『話し合い』の場づくり屋」と表現してきました。これまで「話し合い」という言葉を使用してきたのは、「対話」という言葉の認知度や一般的に定着しているイメージがまだまだ未知だったからです。

 対話に関する研修などで、冒頭に「『対話』という言葉に馴染みがありますか?」と聞いたりするのですが、多くの場合は「ぽか〜ん」という反応です。ですので、対話という言葉をSNUGの第一の説明として取り入れることが適切でないと判断してきました。

 しかし、私は自己紹介を重ねるたびに「話し合い」という言葉への違和感が募ってきました。私は「話し合い」や「対話」において、「話すこと」と同じくらい「聞くこと」や「考えること」が大切だと考えています。
 「話し合い」という言葉はどうしても「話す」ことのみに着目しているように聞こえるなと感じてきました。

 

変えちゃお!

 ということで、ロゴの変更と併せてSNUGは「対話の場づくり屋」となりました。

 対話という言葉は、まだまだ定着していないかもしれません。でもいつか「SNUGは対話をつくっているよね」「対話って、ともに話したり聞いたり考えたりすることだよね」と認知されるように。

 さっそくクマガイコアさんに字を書いてもらいました。私はとても気に入っています。みなさんはいかがでしょうか?

 

SNUGの公式ライン、再びスタートします。

 さて最後はちょっとしたお知らせでこのブログを終えます。

 「対話の場づくり屋 SNUG」の前身「任意団体snug」時代から、SNUGには公式LINEが存在しました。が、はっきり言って使いこなせずにいました。放置されていたと言ってもよいでしょう。

 しかし!インスタやWebサイト(ときどきFacebook)だけでなく、一人ひとりに情報をお伝えしたいなという思いから、SNUG公式LINEを再開します。ぜひお友達登録してください。

 LINEではワークショップなどのイベントなどのお知らせをする予定で、モットーは「通知を増やさない」です。なのでブログ更新まで送るとうるさいかなと控えめに最低限の情報をお送りできればと考えています。

 

結び

 さて今週も無事SNUG Journalを書くことができました。今週は大きな取り組みレポートではなかったかもしれませんが、SNUGの考えや現状をお伝えでき、本当に嬉しいなと感じています。

 実は私は昨日まで体調を崩しておりまして、病み上がり中です。最近は関わるユースや大人たちも風邪やインフル、コロナなどに罹患する方がちらほら。みなさんくれぐれも体調にはお気をつけくださいね。体調を崩しても、自身を責めないで。ぜひあったかくして週末を過ごしてください。

 今週も読んでくださりありがとうございました!また来週お会いしましょう。おやすみなさい。

 

2024年2月9日深夜、自宅にて
対話の場づくり屋 SNUG
代表 長谷川友子